震災21年目となる本年の阪神淡路大震災犠牲者追悼法要は、第1部の法要を神戸市佛教連合会(以下 市佛)が主催、第2部のコーラスを長田区仏教会が主催し、長田区駒ヶ林の臨済宗南禅寺派 海泉寺にて厳修されました。
第1部:市佛 辻井定宏副会長よる追悼法要開式の挨拶の後、雅楽の吹奏と共に式衆、導師が入堂し、一同合掌礼拝。導師によって追悼の表白文が読みあげられ、読経が始まりました。般若心経、重誓偈、自我偈が厳かに響き渡る中、約200人の参列者が焼香されました。
読経後、導師をつとめた市佛 染川眞澄会長より挨拶があり、次のように述べました。
「震災では失うものがたくさんありましたが、助け合いの心、人と人の絆など、得られたものもたくさんありました。21年目になり、神戸市は犠牲者の追悼よりも防災を重視する方向に舵を切ったようです。もちろん防災は大事ですが、亡くなられた方のご冥福は、私達が生きている限り追悼しなければなりません。仏教会には若い僧侶もたくさんおられるので、この法要を我々はできる限り続けていきたい。これからも是非お参り下さい」
市佛 金井考顕副会長による閉式の言葉があり、雅楽の音色と共に式衆が退堂し、第1部は終了となりました。
第2部開始前に、主催の長田区仏教会 杉本祐信会長より挨拶がありました。
「ある仏教の先生が涅槃を”完全燃焼”と訳されました。お釈迦様は身をもって生涯現役、完全燃焼の生き方を実践されました。私達は誰もが完全燃焼の生き方を願っているはずです。しかし、災害で亡くなった方は完全燃焼することなく逝ってしまわれました。 あの大震災で亡くなられた方々の死を無駄にしないように、私たちは物語を続けていかなくてはいけません。突然の災害で亡くなられた方々のことを忘れないという思いを込めて、これからも追悼法要を紡いでまいります」
引き続き、第2部『希望と願いの歌声』がスタート。地元の文化祭や障碍者施設への慰問、定期演奏会などを行っているDoコーラスさんにより『ふるさと』、『赤とんぼ』、『夕やけこやけ』、『愛燦燦』、『BELIEVE』、『いのちの歌』、『しあわせ運べるように』、『大地讃頌』、東日本復興支援ソング『花は咲く』、『群青』が披露されました。
目に見えない優しさや大切な事を思い起こさせる曲や、自然への感謝や平和への願いを歌った曲、阪神淡路大震災や東日本大震災被災地の復興を願って作られた曲などが、心に響く素晴らしいコーラスで歌い上げられ、参列者は静かに聴き入っていました。また、神戸復興を願って作詞作曲された『しあわせ運べるように』では、参列者も大きな声で共に歌い、大いに盛り上がりました。
第2部終了後、境内では長田区仏教婦人会により甘酒が振る舞われました。
風が強く寒い中、沢山の皆様にお参り頂き、誠に有難うございました。市佛会長様の挨拶にもあったように、世間では追悼よりも防災を重視する傾向が強まっているようですが、長田区仏教会では、これからも末永く震災追悼法要を続けて行きたいと願っております。来年もまた是非お参り下さい。